さて、正月休みからこっち、最も時間をかけてプレイしているのは『Call of Duty: Modern Warfare』だ。リブート版モダン・ウォーフェアだね。
なんだかんだでCoDシリーズはほぼ毎年のように新作を買っているが、今回のCoDはマルチのβテストが今ひとつピンと来なかったので、まあとりあえず挑戦的な試みをしているというシングルキャンペーンだけそのうちプレイしよう、くらいの気分だった。まあ後回しでいいやくらいの。が、PS Storeのホリデーセールで30%オフ(だったかな?)くらいでラインナップされてて、いつもならCoDの新作がセールに並ぶのはもう少し時間が経ってからで値引率も控えめだったりするので珍しいなと、いそいそと購入したのだった。
で、正月休み中にシングルキャンペーンだけサクッと終わらせた。うーん、まあ、確かに挑戦的なところはあるんだけどね……だけどなあ……今ひとつふたつかなあ……というのが正直なところ。クリアした直後のTweetを引用するなら
キャンペーンが「やりたいことはわかるが結局のところ前三部作の影を追ってしまってる」演出に歯痒さを感じ今ひとつ消化不良気味だったので、マルチが楽しめて良かった。
— MSRkb (@msrkb) 2020年1月11日
キャンペーンはシリーズ化を見越した幕切れだったが、今日的課題を取り込み倫理面での挑発的な問いかけも入れさらに旧作ファンへの目配せもきっちりやります!というマーケティング優等生的振る舞いが、しかし実のところ場当たり総花的なビジョンの無さに見えてしまうところがなきにしもあらず。
— MSRkb (@msrkb) 2020年1月11日
ちょっとスター・ウォーズ新三部作の諸々に似ていると言えるかもしれない。元々のクリエイターがいない中、有名フランチャイズを続けていくことの難しさみたいな感じか。
— MSRkb (@msrkb) 2020年1月11日
という感じだ。この後にPS4版のCoD4: Modern Warfare Remastered*1をプレイし直したんだけど、やはり「やろうとしていること」と「そこから逆算された演出」の融合という意味ではリブート版MWはオリジナル版には遠く及ばない。
今回のリブート版で最も残念だった点ははっきりしている。プレイヤーは一人称視点で「現代の対テロ戦争や紛争の冷徹な現実」というような物語やシチュエーションを体験するわけだが、各ミッション間のブリッジには、特になんの工夫もなく三人称視点のカットシーンが入る。CoDシリーズはミッションごとに複数のプレイヤーキャラの視点になってプレイするのが定番としてあり*2、このリブート版でもそれに倣っているのだが、ミッションのゴール地点に辿り着くと一人称視点からスーッと三人称になってストーリーが進行したりするのだ。いわゆる「ムービー」として。
CoD4: MWが何よりも素晴らしかった点は、物語上のすべてのイベントが一人称視点で目撃される、ということだ。プレイヤーは様々な人物の視点で苛烈な戦闘を目撃=体験し、圧倒的な戦力差で敵を一方的に蹂躙することもあれば、逃れ得ぬ死の光景を見なければいけないこともある。特に「逃れ得ぬ死」の経験は繰り返され、どちらもプレイヤーにショックと無力感を刻みつける。だからこそ、クライマックスでそれがまた繰り返されるのかと思わせてからのラストショットに圧倒的なカタルシスが訪れるのだ。
細部のディテールはともかく「ストーリー」としてはかなりリアリティを欠いたCoD4: MWだが、冒頭からラストまでプレイヤーの操作する人物は(そのミッション中は)一人称視点である、というのが徹底されているため、プレイ中にそのようなリアリティの欠如が気になることはない。プレイヤーはゲーム中、さまざまな視点人物を渡り歩くことになるが、それぞれの見た風景を「自分事」として経験していくことになる。ストーリーを駆動するイベントはすべて一人称で目撃され、その裏に隠された各勢力の思惑や大状況はミッション間のブリーフィングとして素っ気ないグリッドとワイヤーフレームのインフォメーションで解説される。
リブート版MWでもそのような要素はあるのだが、前述のとおりそれが徹底されてはおらず、なんかこう「映画的」*3なカットシーンが挿入されたりするので、どんなショッキングでシリアスなイベントを目撃=体験しても、結局のところ途中で「他人事」になってしまうのだ。そこがもったいない。
ゲーム中、何度かプレイヤー自身の倫理観を問われるような「選択」の場面があるのだが、「自分事」としての強度が今ひとつ足りないため、まあどっちでもいいかなーという気分になったのが正直なところ。あとねー、ラストミッションが盛り上がりに欠けることおびただしい。あそこからもう一押しあるものだとばかり思っていたら終わってしまったのでびっくりした。
と、シングルキャンペーンは今ひとつふたつという感じだったので、1回クリアしてこれでもう終わりでいいかなーとか思っていたのだが、一応念のためマルチも少し触っとくかーとやってみたら、思いのほか楽しかったので今はずっとこればかりやってる。βのときはピンと来なかったのに。いや、楽しいというか、けっこう勝ててるんだよね。勝てるゲームは良いゲームなので、俺にとってCoD: MWはシリーズ最高傑作になったのだった。とりあえずマルチについては。
*1:正式なタイトルは『Call of Duty: Modern Warfare Remastered』で「4」が入らない。紛らわしいわ!
*2:最近作では必ずしもそのとおりではないが、とりあえずMWシリーズではそこは一貫している。
*3:映画というか一昔前のゲームの「ムービー」風