ゲームへたおじさんドットコム

1977年生まれの文系社会人。どこのクラスにも10人はいたような男のゲーム日記とメモと寄る辺のなさ。

有終

昨日はあんなこと書いたけど、まあ言わずもがなではあるがあんなの嘘だ嘘、虚飾だよ虚飾。理路整然と詰める取引先との会議も、啖呵を切る上司も、アセロラドリンクを手渡す部下もいない、虚無だ、虚無の虚空に浮かんだ俺の身体には片付けなければならない作業だけが纏わり付くんだ、でも内田真礼の水着グラビアが載ってるヤンジャンは存在する。あそこだけ真実だ。内田真礼イズ真実。僕ァねー、『非公認戦隊アキバレンジャー』見てから内田真礼さんを応援してるんですよーぶっちゃけ声優って知らなかったしアキバレンジャー見てたときは地方局の女子アナ出身の28、9歳くらいの人かなとか思ってたんだけど、まあ内田真礼さんにはなんていうか妙なエロスを感じてましたね。そんなわけで応援してます。というかあのドラマに出てた人はだいたい応援してる。アキバレッドは『ごちそうさん』で美味しい役もらってその後も順調に売れてきて良かったねー、アキバ黄色はいろんな意味で応援していきたいねー、そして初代アキバブルーは……ブルーは……いろいろつらいことがあっても、頑張っていってほしい。応援してる。

まあ話が逸れたがどうでもいい。さっきこんな記事を読んだんだ。


あの“高橋名人”が新会社を設立! 「夢は新しい“冒険島”を作ること」 (週プレNEWS) - Yahoo!ニュース

高橋名人がドキドキグルーヴワークスという会社を設立した、というインタビュー記事なんだが、こんなことを言ってるんだ。

高橋 僕がいたハドソンという会社は2012年に親会社だったコナミに吸収合併されたんですが、実はその前年にハドソンを退社していたんです。そして、やりたいことを実現したいという思いから、自分の会社を設立したんですよ。

わが社は、今はまだ他社さんのゲームの制作協力することを主な事業にしていますが、将来的には開発からデバッグまで全部できる会社にしたい。長年お世話になった業界を盛り上げて、有終の美を飾りたいんです。

「有終の美」って言葉にドキッとしてしまった。高橋利幸氏は1959年生まれだから今年で55歳。確かに組織人としては仕事人生のゴールに向けてあと一踏ん張り、という時期だとは思うが、「高橋名人」がもうそんな年齢だということに虚を突かれた。なんとなく、まだ40代半ばくらいというような感じがあった。高橋名人が最も活躍していたのは俺が小学生の頃なのだから、この時間認識は明らかにおかしいというのは頭ではわかっている。でも、あれからもう25年以上たってしまっているというのが、どうにも実感できない。

30歳を過ぎたあたりから、こういう時間認識の歪みみたいなものを感じることが増えてきた。俺自身はもちろん、年齢分の時間を生きてきたという実感はしっかりあるのだが、子供の頃や学生の頃によく親しんでいた有名人、ことに世間一般が知っているスターではなく特定の層に愛されたサブカルチャーヒーローたちが、年を重ねた成熟や、うら寂しい老いや、馬鹿げたしでかしや、つらい結末や、豊かな旅立ちを迎えたとき、その報に触れた俺は、不思議な気分になってしまう。彼ら彼女らも、俺と同じ長さの時間を生きてきているのだ、ということに改めて、いやむしろそこで初めて気づかされるのだ。俺は年をとったが、彼ら彼女らを見ていた俺の視線は過去の時間に囚われたまま凍結し、その視線の先にいた彼ら彼女らの生もまた、固定された時間の中で永遠に在るのだ、という無意識の思い込みが、たぶんあるのだろう。

そこからの錯誤で、彼ら彼女らがまだ若いと思い込んでいたということは、俺自身に成長がなく、彼ら彼女らを見ていた時から内面の時間が止まっているのでは? 幼稚なままただ無駄に年を重ねてしまったのでは? という自分自身への疑念というか哀しみ、つら味が湧き上がってきたりもするんだが、まあ実際のところそんなことはない。流れた時間のぶんだけそれなりに成長はしている。しているんだが、やはり過去の凍結された視線はけっこう在庫潤沢なので、たまにそれが刺激されると、ちょっとなんていうか、メランコリックな? 気持ちに? おじさんが? なっちゃうみたいな? そういうのはある。そういうのはあるけど、その気分についてずっと考え込んだりしてるとたぶん急速に中年の危機みたいな陥穽に転がり落ちて奇矯な行動をとるハメになるので、適当なところで切り上げて、具体的には会社の外の喫煙スペースで遠くを見ながら煙草を二本吸うあいだだけそのことについて考えたら、あとはとっとと作業に戻る、それが年相応の智恵だ。折り合いをつけてやっていくしかない。そして虚無の虚空に戻って作業を終わらせ、内田真礼の水着グラビアをスキャンしてEvernoteにクリップしておかなければいけない。

 

ヤングジャンプ 2014年 9/25号 [雑誌]

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