ちょっと前……いや、もうけっこう前になってしまったけど、歌舞伎町タワーに入っている「namco TOKYO」に行ってきた。バンダイナムコ運営の一風変わったアミューズメント施設だ。
歌舞伎町タワーってなんかこう、なんであんなバブリーな感じなのか前から気になっていて一度入ってみたいなというのがまずあって、TOHOシネマズ新宿に行くついでに覗いてみた、さらについでだから「namco TOKYO」もじっくり見てきたという感じだ。
歌舞伎町タワーの唐突なラグジュアリー感にびびる
コロナ禍以降何かと「治安の悪いキッズたちのたまり場&それをカモにするゲスい大人の狩場」みたいなイメージで語られることが多かった歌舞伎町の “トー横” こと新宿東宝ビル(TOHOシネマズ新宿が入っている高層ビル)周辺の一帯。それでも最近は以前に比べるとそういう雰囲気はかなり薄れ(深夜帯でなければ)、特に昨年からは海外からの観光客もかなり増えて、昼間〜22時くらいまでに歩く分には10年前の歌舞伎町に比べても安心な「令和東京の観光地」っぽさがあると思う。
2023年4月に開業した東急歌舞伎町タワーは、まさにそのような「インバウンド客向け観光地としての歌舞伎町の再定義」を目指した開発計画の目玉となる施設……という感じだろうか。でも旧コマ劇場前広場奧、かつてミラノ座などの大型映画館があった跡地にこのなんかラグジュアリーげな高層ビルが建ったときはけっこう面食らったものだ。
地上48階地下5階の巨大複合型ビルで、オフィスフロアや住居フロアがなく、飲食店やクラブ・ライブハウス・映画館・劇場・ホテルなどのエンタメ/レクリエーション施設のみが入っているのが特徴。
地下はライブハウスとクラブ、一階はバスターミナル、低層階は飲食店とエンタメ施設、中層階は劇場と全席プレミアムシートの映画館、高層階はホテル(一般観光客向けのホテルと、客室平均単価8万円・最高級ペントハウスは300万円以上となるラグジュアリーホテルの二段構え)という構成となっているんだそうだ(行く前に調べた)。 上の写真は旧コマ劇場前広場側から撮った歌舞伎町タワー。
で、その裏側……というか西武新宿線駅方面から撮った歌舞伎町タワーはこんな感じ。
こちら側はホテル宿泊客向けの入り口で、羽田・成田直行バスのターミナルにもなっている。
西武新宿駅前から旧コマ劇場前までのゴチャゴチャ込み入った飲み屋密集区画がいつの間にか妙に綺麗になってて、街路灯までなんかラグジュアリーなデザインのやたら背が高いやつに変わっていてビビった。いつの間にか……というかもう一年以上前からなのだが。
namco TOKYOはどんな感じ?
旧コマ劇場前広場の屋外エスカレーターで2階に上がるとフードコートになっている。ネオンを模したLEDで日本的意匠を飾り立てるニューレトロ/ネオンサイバー系の内装デザインが目を引く。
そこからさらにエスカレーターで上がった3階の大部分を占めるのが「namco TOKYO」となる。ここも2階フードコートからの流れでニューレトロ/ネオンサイバー系の内装だ。
入ってすぐのところにはガシャポン販売機が大量に並べられている。最近は外国からの観光客向けの手軽な日本土産として重宝されるようになったガシャポンだが(帰国前に半端な日本円硬貨を処分するのにちょうどいいので空港にも必ず置かれるようになった)、ここもかなりそれを意識していて、入り口すぐのところに外貨両替機が設置されていた。
『太鼓の達人』などのゲーム筐体も一応設置されているが、広いスペースを占めるのは上記のガシャポン機とプライズ機のコーナーだ。
プライズ機には海外でも人気のあるアニメのフィギュアやぬいぐるみがずらりと並んでいた(鬼滅、進撃の巨人、ヒロアカ、ドラゴンボール、SPY×FAMILY、ポケモンなどなど)。
すべてのプライズ機に「トーキョーフィギュアコレクション」というロゴが入っていた。公式サイトによれば「クールジャパンコンテンツに特化したコーナーを展開。国内のファンだけでなく、来街する海外のファンにも対応した展開をします」とのこと。 ふむん。
奥の方には広めの飲食スペースがあり、コラボカフェ的なこともやっているようだったが基本はキャッシュオンデリバリー式のバースペースのようだ。カクテル/モクテル(ノンアルコールカクテル)の他、米・欧・亜さまざまな国の瓶ビールや日本酒の二合瓶がクーラー棚に入っていた。
写真撮り忘れたけど、ゲーム音楽やアニソンのメガMIX DJが壁面の大型LEDビジョンに流れていて、その前のスペースでちょっとしたライブイベントもできるようだった。
まとめと私見
ところで、旧コマ広場にはGIGO新宿歌舞伎町店やゲームパニック新宿歌舞伎町店など、大型アミューズメントスポットが他にもある。両店とも一階はプライズ機専門フロアで照明も明るく通路も広くて入りやすい作りだ。外国人観光客ではない、日常の延長でやって来る日本人客が歌舞伎町でゲーセンに行こうとするなら、わざわざ歌舞伎町タワーに入らずそれらの店に行くだろう。
namco TOKYOはそのような日本人の客層向けの一般的アミューズメント施設ではなく、コンセプチュアルな店舗として設計されている。前述のとおり、2階フードコートと3階 namco TOKYOは同系統の日本的意匠×ニューレトロ/ネオンサイバー系の内装で、この2フロアはあわせてひとつの施設として機能しているようだった。
日本の若者もターゲットではあるだろうが(飲食の価格設定的にはインバウンド向け観光地価格というほどふっかけてはいないと思う)、メインターゲットは高層階のホテルに泊まっている観光客で、2階のフードコートと合わせて「日本のサブカルチャーのキラキラした部分をホテル施設内で手軽に(かつ夜でも安全に)楽しめる場所」として設計されているという印象だった。温泉地の昔ながらの観光ホテルにあるゲームコーナーや娯楽室のラグジュアリー版、的な感じだろうか。
ただまあ、行ったのが平日16時頃(代休消化日だったので)ということもあってか、2階フードコートも含めてお客さんはまばらだった。週末なんかにはどんな感じになってるんでしょうね? それはそれとして、一度覗いてみるのも一興だとは思います。