ゲームへたおじさんドットコム

1977年生まれの文系社会人。どこのクラスにも10人はいたような男のゲーム日記とメモと寄る辺のなさ。

インディーゲームのローカライズ・「みかん」の変な誤訳

こないだ遊んだ海外製のインディーゲームで、面白い誤訳があったのでメモしておく。

 

このゲームでは日本の街並みをイメージソースにしたステージが登場する。「日本」と明示されるわけではなく、看板の文字が架空言語になっていたりなどある程度抽象化されているのだが、日本在住者が見ればひと目で日本とわかるくらいには特徴的なつくりだ。

さて、そのステージ内で入手できる、とあるアイテムがどう見ても「みかん」なんだが、そのアイテム名が「サツマイモ」となっているのだ。しかも、アイテムの説明文には「みかん」という正しい名称が出てくるし、ちゃんとみかんの説明になっている。

ローカライズの際のミス、誤訳なのは明らかだが、なんでここでサツマイモが出てくるのだろう……と思ってちょっと調べてみた。

 

このアイテム、原文(英語)では「Satsuma」という名称になっている。あれ、もとから間違ってたのかな?と思ったがさにあらず。実は、日本でいうところの「みかん」、つまり「温州みかん」は、19世紀末にアメリカに移植された際、原産地である薩摩国(鹿児島)の名を取って「Satsuma mandarin」と名付けられたんだそうで、現在ではもっぱら「Satsuma」という品種名で流通しているんだそうだ。*1

さらに言えば、アラバマ州・フロリダ州・テキサス州・ルイジアナ州にはそれぞれ「Satsuma」という名前の町があり、これらの町はまさにこの温州みかん/Satsumaの栽培が盛んなことからこのような町名になっているんだそう。ほえー。日本でいえば川崎市の「柿生」とか名古屋市の「枇杷島」みたいな感じかね。

 

そんなわけで、日本語ローカライズの際にこの「みかん=Satsuma」を誤って「サツマイモ」と訳してしまったのだろう。一方でアイテムの説明文では正しく「みかん」と訳されているため、推測するに翻訳担当者にはゲーム内テキストを抽出したExcelファイルしか提供されておらず、かつアイテム名と説明文にはそれぞれ別のIDが付与されていて、Excelファイル上ではそれぞれのセルの位置が離れていたので文脈を読み誤った、ということだろうと思われる。

一応、開発元には報告を送っておいたが、数年前にリリースされてすでにアップデートも一段落してるっぽいゲームなので、たぶん直されないだろうなとは思う。というわけでここに覚え書きだけしておく。

*1:ちなみに日本の「温州みかん」は、中国で柑橘の名産地として有名な温州とは直接的な関係がない。薩摩地方で品種改良・栽培されていた柑橘が江戸時代後半になって人気を得て各地で栽培されるようになり、その際に柑橘で有名な中国の温州にあやかって「温州蜜柑」と呼ばれるようになった、ということらしい。