年を取ると、若い頃はぜんぜん良く思えなかったものが急に「あーなるほどそういうことか」的に〈良さ〉が《わかって》しまう……ここのところ俺の中でのそんな事例が増えた。例えば、昔はまったく面白くもなんともない軽薄なタレントとしか思えなかった中山秀征に対して、今はその「受けの芸」、あるいは「幇間芸」の凄味……というか凄味をまったく感じさせないところに真のすごさがある……から目が離せなくて、テレビで見かけるたびにじっと見てしまう。
まあここは仮にもゲームBlogなのでゲーム関係でのそういう話をすると、『サクラ大戦』の主題歌「檄!帝国華撃団」も俺の中でのそういう事例のひとつだ。言わずと知れた名曲だが、最初のサビの後にスッと「蘇州夜曲」の引用みたいなフレーズがコーラス付きで入るとこ、ずっとダサいなあと思ってた。けど今はこれが良い、これがあるからこそ「善い……」と思える。
ゲーム自体は、まあなんていうか……まあね、という感じだった『新サクラ大戦』だが、「檄!帝国華撃団 〈新章〉」はとても良かった。初めて聴いたときは、こういう構成なのかー! とかなり感激したものだ。こういう再解釈+新要素で再構築ものに弱い。
サクラ大戦の「再解釈+新要素で再構築」といえば、TVアニメ版『サクラ大戦(サクラ大戦TV)』が俺はとても好きだ。
00年放映のこのTVアニメ版は、原作ゲームの陽性のノリをガラッと変え、ちょっとダークな要素を入れつつ登場人物の心理描写を細やかに描いていくという、原作と同時代のマルチメディア展開ながらまるでリブート的なテイストの異色の作品だ。
当時の世評はあまり芳しくなかったと記憶しているが、今改めて見るなら(やはり90年台中盤オタクカルチャーの空気感がかなり濃厚な)原作ゲームよりも、むしろこっちのほうが面白いんじゃないかという気もする。
敵である脇侍のみならず華撃団が乗り込む光武までもが、蒸気駆動ロボットというよりもある種の生物的な不気味さを加味して描かれるのはいかにもこの時代の作品という感じではある。だが例えば序盤のエピソードで展開される、脇侍を光武の剣で刺し貫いて浅草の長屋に磔にした上で、すみれが光武のコクピットを出て、脇侍の頭部を至近距離からの拳銃連射で破壊して仕留める……というような、大型メカと人間のスケール感の違いを活かしたアクションは今見てもなかなかにフレッシュで良い。
さっきの「再解釈+新要素で再構築」の流れで言えば、見知ったキャラクターやガジェットたちの見たことのない映像を見せられる興奮、みたいな感興だ。監督は『serial experiments lain』の中村隆太郎で、特に序盤のエピソードで顕著な温度の低い演出はまさに『lain』直系と言えるだろう。個人的にはメディアミックスの鬼っ子的傑作だと思っている。
今見ようとするとdアニメストア(Amazon Prime Video経由でも)か、あるいはU-NEXTに入っているようだ。U-NEXTは例によって気持ち悪いくらいにラインナップが充実していて、「サクラ大戦」で検索するとこのTV版や劇場版、各作のOVAスピンオフ版などの他に、ソフト化されている歌謡ショウ関連映像(97年の第1回公演から)もたぶんだいたい入っていて、そして『聖少女艦隊バージンフリート』まで入ってる。気持ち悪い通り越してウザいよ! さすが国産配信サービスは力の入れどころが違うわいと唸らされたのだった。
特にオチがないうえに、最初にしていた話からどんどんズレていった気もするが、まあいいや。

