ゲームへたおじさんドットコム

1977年生まれの文系社会人。どこのクラスにも10人はいたような男のゲーム日記とメモと寄る辺のなさ。

2021年に面白かったゲーム系Podcast続き

先日の更新でゲーム系Podcastについて触れたが、その続き。

まあそこそこいろいろ聴いているが、なんだろう、ここ二、三ヶ月くらいはとにかくなんでもいいから他人のゲーム語りについて四六時中聴いていたいというモードに入ってしまっているので、そこで語られている知識の深さとか洞察の鋭さ、ゲーム史的視野の広さ、批評と倫理、みたいなものはわりとどうでも良くなってきた。

前はそういう基準で聴くコンテンツを選ぶところが無きにしも非ずだったのだが、先日のエントリも書いたんだけどそういう「プロ」っぽいものを非営利個人がやってるPodcastに求めるのは本末転倒だなーというのと(企業とかプロのジャーナリスト・評論家がやってるものはまた別の判断ですよ)、もうちょっと生活に根ざした生っぽい声を聴きたいなというというのがあって、そんなわけだからゲームについて話していればもうそれでいいや、という感覚になりつつある。

あとねー、あのー、ある程度年季の入ったゲーオタとかマニアの人が、非ゲームメディアでちょっと薄いというか軽い感じのゲーム関連記事を出してきたときにしがちな態度、SNS仕草、アティテュード、あの感じ、あれがどうにも(当世言葉で言えば)toxicに感じられて、最近はどうにもキツいなと、距離取りたいなと思うことがままありましてね、まあそういう時代 -JIDAI- の空気も俺の中にあるわけです。まあどうでもいい話かもしれんが。で、そういうtoxicな仕草のアレってテキストだとわりと濃く出るところがある気がするので、その反動として比較的そういうのが薄い個人のPodcastを聴くというところもあるのかなーと、なんか今これを書いているうちに思い至りましたね。書いていくことでさらに自分自身の内面への解像度が高まるな。タッカンマリ。あ、今また内面に去来することをそのまま文字として出力する自動書記的なやつになってますが。タッカンマリは食べたことない。参鶏湯は好きだが。

で、なんだ。まあ個人でやってるゲーム系Podcastってわりと、「ゲームについてすごく詳しいとかマニアってわけじゃないけど、ゲーム好きだしゲームについて語るのが好きなんですよ」という感じの「断り書き」的なものを入れてることが(俺の観測範囲では)多くて、それってつまりうるさ型のマニアがいろいろ突っ込んでくることへのある種の警戒・事前の言い訳的な側面もあるのかもしれないのだが、それとは別に「ゲーム」*1がそもそも持つ、語りやすさ・話題にしやすさ・会話にしやすさ性、みたいなところはあると思うんだよね。それを語るためにはある一定の〈教養〉を持っていなければいけないというような社会的な暗黙の了解が比較的薄いことこそがゲームの良さであると思う。文学や美術や音楽や映画などについて「語る」ときに必要(とされる)〈教養〉の多さ・煩雑さに比べて、そういうものから未だある程度自由であることがゲームの美点であるというのは言えるだろう。つまるところゲームは固定された/言説や評価が歴史的に堆積されていく「作品」ではなく、個々人がそのたびごとに聖なる一回性をもって体験・経験する「遊戯」であるのだから、それについて語ることは〈教養〉のあるなしに関わらず個々人の体験・経験を語ることに他ならないのだから、結果として「語る」ことへのハードルが低い、みたいな感じで捉えることもできちゃったりなーんかしちゃったりしてからに、ツンツン(広川太一郎)*2

回りくどい話をしている。回りくどいというか、別に何か本論があるわけでもないぐるぐる廻ることを自己目的化したようなことを書いている。そういうのが書きたいので。それでここまでの話とはあまり繋がらないが、去年、2021年に聴いて面白かったゲーム系Podcastのエピソードを他にも紹介したい……と思ったんだけど、上記のようなことからぼんやりふわっとしたやつを好んで聴いているところがあるので、あるエピソードだけを抽出して「これ!」とお勧めしづらいところはあるんだよね。そんな中でもこれはこのエピソード単体で聴いても面白いしそこで語られているゲームをすぐにプレイしたくなる、というようなやつを紹介したい。って言っても2つだけだが。

 

ひとつめは「ゲームなんとか」の「ホネストさんとTheWitnessをなんとか(ネタバレあり)」の回。2021年8月23日更新。

gamenantoka.com

 

youtu.be

約2時間あって前半は雑談だが、『The Witness』にハマってクリアした三人がこのゲームについて語る回だ。特に、てっけん氏がnoteに書いたこのゲームの紹介記事に触発されて、というよりもある種の呪いをかけられてプレイを続けるこへい氏のオブセッション、そこからの解放?と世界の見え方の変化などなど、聴きどころが多い。俺はこのゲーム、20分くらいやって「パズル……めんどう……」と思ってすぐに放り投げてしまったのだが、このPodcastを聴いてもう一度最初から始めた。60分くらいプレイしたところでコントローラーを握ったまま眠りに落ちてしまったが……。

 

もうひとつは「狭くて浅い奴ら」の『FINAL FANTASY VII REMAKE』について語った回2020年7月16日更新。2021年のPodcastじゃないじゃん! という指摘にはそのとおりと言うしかないが、聴いたのは2021年なんだからいいだろ。なんと3回に分割された大ボリュームの回だ。

semaasa.net

semaasa.net

semaasa.net

どの回もFF7リメイク(およびその周辺のこと)についての評として丁寧なのだが、特に3本目(#402-C)での、キャラクター造形と今回のリメイクでのオリジナル版との描写の違いについて深掘りして語るところはとても面白かった。FF7リメイク、積んでしまっているのでそろそろプレイしないとなー。

 

あとこの個人のゲーム系Podcast紹介という文脈とはちょっと外れるが(プロのゲームライター複数人のトークライブでYouTubeライブ配信なので)、「令和ビデオゲーム・グラウンドゼロ」はけっこう興味深く拝聴している。毎回3時間くらいあるので聴くのもなかなか大変だが……。去年聴いた中では、「2000年代問題・あの頃ビデオゲーム10年間とは、なんだったのか?」の回でのGTA3の主人公像の「何者でもない男」から感じられるある種の不気味さ・不穏さを今改めて振り返ってみると面白い、みたいな話は面白かった。

www.youtube.com

*1:ビデオゲームに限らず、ボードゲームその他も含めた「ゲーム」全般

*2:一方でこのことが、ビデオゲームにはバイヤーズガイド的レビューではない「批評」「評論」があまり求められないという要因にもなってしまっているとは思う。