ゲームへたおじさんドットコム

1977年生まれの文系社会人。どこのクラスにも10人はいたような男のゲーム日記とメモと寄る辺のなさ。

Deadlight

引き続きゴールデンウィーク中の積みゲー崩し。Xbox 360のLive Arcadeで2012年配信の横スクロールゾンビアクションアドベンチャー。当時の雰囲気としては、オールドスクールな横スクロールアクションそのものの画面レイアウトと逆光をイメージした絵作りの組み合わせが、よくあるゾンビ・アポカリプステーマに新鮮なビジュアルインパクトを……という感じで事前のトレーラーが出た頃はけっこう期待されていたと思う。『Limbo』(2010)が高評価を得た後の、(似たようなビジュアルインパクトを持つ)インディーズゲームの次の期待作、というくらいの空気だったかなーというのが個人的な印象だ。でもリリース後の評判はあんまりよくなかったねー。


Deadlight - Official Gameplay Trailer from Tequila ...

さて、確かリリース直後くらいに購入してたはずなんだが起動もせずすっかり忘れていた。というわけでプレーイ。わーこれはなかなかいい雰囲気だなーおーこのー寒々しい絶望の世界ねーいいねー……というのは最初のチャプターまで。全三部構成なんだが、ゾンビアポカリプス後の荒廃したシアトルの街を彷徨う第一部からがらっと変わって、第二部(の前半)では下水道内に作られた地下迷宮に舞台を移す。さっき、オールドスクールな横スクロールアクションそのものの画面レイアウトがーと書いたが、チャプター1ではそのレイアウトに「プレイヤーキャラが横に進む」以上の意味づけはない。アクションゲーム的に難しい場面はなく、ストーリードリヴンというほどではないが静かなムードでナラティヴ、つまり物語を語ることにフォーカスされたプレイフィールだ。まあ、純粋にアートワークとしての美学上の選択としてこのレイアウトがとられたのかなーと思ってプレイするわけ。で、さっきも書いたとおりチャプター2に入ると舞台は市街地から下水道内に移るんだけど、ここでは仕掛けを作動させたり足場をタイミングよくジャンプしたりブロックを移動させてちょっとした謎を解いたり……とプレイフィールががらっと変わり、「オールドスクールな横スクロールアクションそのものの画面レイアウト」がまさに文字通りの意味を持つようになる。急にゲームゲームした展開になるのだ。同時に、物語のリアリティのレベルも唐突に変化する。「ゾンビ禍で文明が崩壊」という大きな一つの嘘をベースにしつつも、現実のシアトルの街を舞台にしたシリアスな物語――人付き合いの下手な暗い性格の男が生き別れになった妻子を探して地獄めぐりをする。見慣れた街は崩壊し、生き延びた人々は絶望し、あるいは狂気に駆られて人間性を失いかけている――が語られていたはずが、唐突に隠者が1人で作り上げた地下王国に迷い込む話になる。それでその隠者がなんか主人公のメンターっぽくなったりね。あーつまり、幻想味、寓話性が急に強くなりすぎるのだ。

いやね、ゲームとしてのプレイフィールが途中でがらっと変わるのも、物語のリアリティーラインが途中でがくっと変化するのも、別にそれ自体がまったくいけないというわけではない。別にそれ自体はいいんだ。だけど、そのギアチェンジの手つきがすごくへったくそなもんだからどうにもついていけなくなる瞬間があった。確かに、チャプター1と2をブリッジする形で主人公が悪夢を見るパートが挟まっていて*1、それに続いての地下迷宮という展開はまだ夢の中なのかそれとも現実か、という効果を狙っているのはわかるし最初はそのセンに乗ってプレイできる。できるんだけど、思ったよりもだらだらと地下迷宮での古臭い「アドベンチャーゲーム」が続くので、途中で「これいつまで続くんだ?」とイライラしてくるんだよね。で、やっと地下迷宮を抜けたと思ったら今度は『Canabalt』みたいなラン&ジャンプアクションが始まって、しかもここで難度が急上昇するので死にまくりコンティニューしまくりで物語が停滞する(まあそれは俺がゲーム下手だからいけないとも言える)。あのねー、このー、チャプター1をプレイしているときに期待しているものがチャプター2でずっと裏切られ続けるというね、このゲーム展開のまずさはちょっとなーと閉口した。

とりあえずチャプター2終盤まで、でだいたい実質プレイ時間が4時間半くらい? だけどレビュー読んでると「全3チャプターで2時間程度のプレイ時間というボリュームの少なさがよろしくない」みたいな意見が多くて、あとXbox Liveのフレンドのクリアタイム見てもやっぱり2~3時間っぽくて(クリア後にタイムトライアルしたうえでそれくらいということかもしれないけど)、もしかしたらそれくらいのスピードですいすい進めたら、上記の展開も違和感なく飲み込めるのかもしれない。すべては俺のゲームスキルの問題だという可能性はある。まあ、あるでしょうな。しょうがないよもう。最後までプレイしたら化けるかもしれんし……とりあえずGW中はここまで。

*1:かつての平穏な日々、街をあげてのお祭りを楽しむ人々の姿、だが主人公以外の人々は静止した書割のようで、主人公のみが「横スクロールで走っていく」と徐々に街並みは荒廃していき……という、ゲームのシステムとアートワークとナラティヴが合致した、ここだけ見てみるといわゆる「うまい」シーンだ。