ゲームへたおじさんドットコム

1977年生まれの文系社会人。どこのクラスにも10人はいたような男のゲーム日記とメモと寄る辺のなさ。

歌舞伎町タワー「namco TOKYO」

ちょっと前……いや、もうけっこう前になってしまったけど、歌舞伎町タワーに入っている「namco TOKYO」に行ってきた。バンダイナムコ運営の一風変わったアミューズメント施設だ。

歌舞伎町タワーってなんかこう、なんであんなバブリーな感じなのか前から気になっていて一度入ってみたいなというのがまずあって、TOHOシネマズ新宿に行くついでに覗いてみた、さらについでだから「namco TOKYO」もじっくり見てきたという感じだ。

 

歌舞伎町タワーの唐突なラグジュアリー感にびびる

コロナ禍以降何かと「治安の悪いキッズたちのたまり場&それをカモにするゲスい大人の狩場」みたいなイメージで語られることが多かった歌舞伎町の “トー横” こと新宿東宝ビル(TOHOシネマズ新宿が入っている高層ビル)周辺の一帯。それでも最近は以前に比べるとそういう雰囲気はかなり薄れ(深夜帯でなければ)、特に昨年からは海外からの観光客もかなり増えて、昼間〜22時くらいまでに歩く分には10年前の歌舞伎町に比べても安心な「令和東京の観光地」っぽさがあると思う。


2023年4月に開業した東急歌舞伎町タワーは、まさにそのような「インバウンド客向け観光地としての歌舞伎町の再定義」を目指した開発計画の目玉となる施設……という感じだろうか。でも旧コマ劇場前広場奧、かつてミラノ座などの大型映画館があった跡地にこのなんかラグジュアリーげな高層ビルが建ったときはけっこう面食らったものだ。

 

 

地上48階地下5階の巨大複合型ビルで、オフィスフロアや住居フロアがなく、飲食店やクラブ・ライブハウス・映画館・劇場・ホテルなどのエンタメ/レクリエーション施設のみが入っているのが特徴。

地下はライブハウスとクラブ、一階はバスターミナル、低層階は飲食店とエンタメ施設、中層階は劇場と全席プレミアムシートの映画館、高層階はホテル(一般観光客向けのホテルと、客室平均単価8万円・最高級ペントハウスは300万円以上となるラグジュアリーホテルの二段構え)という構成となっているんだそうだ(行く前に調べた)。 上の写真は旧コマ劇場前広場側から撮った歌舞伎町タワー。

で、その裏側……というか西武新宿線駅方面から撮った歌舞伎町タワーはこんな感じ。

 

 

こちら側はホテル宿泊客向けの入り口で、羽田・成田直行バスのターミナルにもなっている。

西武新宿駅前から旧コマ劇場前までのゴチャゴチャ込み入った飲み屋密集区画がいつの間にか妙に綺麗になってて、街路灯までなんかラグジュアリーなデザインのやたら背が高いやつに変わっていてビビった。いつの間にか……というかもう一年以上前からなのだが。

 

namco TOKYOはどんな感じ? 

旧コマ劇場前広場の屋外エスカレーターで2階に上がるとフードコートになっている。ネオンを模したLEDで日本的意匠を飾り立てるニューレトロ/ネオンサイバー系の内装デザインが目を引く。

 

 

そこからさらにエスカレーターで上がった3階の大部分を占めるのが「namco TOKYO」となる。ここも2階フードコートからの流れでニューレトロ/ネオンサイバー系の内装だ。

 


入ってすぐのところにはガシャポン販売機が大量に並べられている。最近は外国からの観光客向けの手軽な日本土産として重宝されるようになったガシャポンだが(帰国前に半端な日本円硬貨を処分するのにちょうどいいので空港にも必ず置かれるようになった)、ここもかなりそれを意識していて、入り口すぐのところに外貨両替機が設置されていた。

 

 

『太鼓の達人』などのゲーム筐体も一応設置されているが、広いスペースを占めるのは上記のガシャポン機とプライズ機のコーナーだ。

プライズ機には海外でも人気のあるアニメのフィギュアやぬいぐるみがずらりと並んでいた(鬼滅、進撃の巨人、ヒロアカ、ドラゴンボール、SPY×FAMILY、ポケモンなどなど)。

 

 

すべてのプライズ機に「トーキョーフィギュアコレクション」というロゴが入っていた。公式サイトによれば「クールジャパンコンテンツに特化したコーナーを展開。国内のファンだけでなく、来街する海外のファンにも対応した展開をします」とのこと。 ふむん。

 

奥の方には広めの飲食スペースがあり、コラボカフェ的なこともやっているようだったが基本はキャッシュオンデリバリー式のバースペースのようだ。カクテル/モクテル(ノンアルコールカクテル)の他、米・欧・亜さまざまな国の瓶ビールや日本酒の二合瓶がクーラー棚に入っていた。

写真撮り忘れたけど、ゲーム音楽やアニソンのメガMIX DJが壁面の大型LEDビジョンに流れていて、その前のスペースでちょっとしたライブイベントもできるようだった。

 

まとめと私見

ところで、旧コマ広場にはGIGO新宿歌舞伎町店やゲームパニック新宿歌舞伎町店など、大型アミューズメントスポットが他にもある。両店とも一階はプライズ機専門フロアで照明も明るく通路も広くて入りやすい作りだ。外国人観光客ではない、日常の延長でやって来る日本人客が歌舞伎町でゲーセンに行こうとするなら、わざわざ歌舞伎町タワーに入らずそれらの店に行くだろう。

namco TOKYOはそのような日本人の客層向けの一般的アミューズメント施設ではなく、コンセプチュアルな店舗として設計されている。前述のとおり、2階フードコートと3階 namco TOKYOは同系統の日本的意匠×ニューレトロ/ネオンサイバー系の内装で、この2フロアはあわせてひとつの施設として機能しているようだった。

日本の若者もターゲットではあるだろうが(飲食の価格設定的にはインバウンド向け観光地価格というほどふっかけてはいないと思う)、メインターゲットは高層階のホテルに泊まっている観光客で、2階のフードコートと合わせて「日本のサブカルチャーのキラキラした部分をホテル施設内で手軽に(かつ夜でも安全に)楽しめる場所」として設計されているという印象だった。温泉地の昔ながらの観光ホテルにあるゲームコーナーや娯楽室のラグジュアリー版、的な感じだろうか。

 

ただまあ、行ったのが平日16時頃(代休消化日だったので)ということもあってか、2階フードコートも含めてお客さんはまばらだった。週末なんかにはどんな感じになってるんでしょうね? それはそれとして、一度覗いてみるのも一興だとは思います。

 

 

いや、行ったのずいぶん前なんですけどね……。

 

あいどる

www.4gamer.net

明日(2024/05/16)リリースされる『学園アイドルマスター』の設定を今頃になって知ったんだけど、

本作でのプレイヤーの立ち位置は,アイドル養成学校「初星学園」の専門大学・プロデューサー科の生徒だ。そして,同学園の高等部でアイドル科に所属する候補生をひとり選んでプロデュースしていくことになる。

って、めちゃくちゃ深刻なハラスメント事案に発展しそうな教育カリキュラムだな……大学生が高校生をプロデュース……大人は何やってるんだよ……とか思った。

 

まあそれは冗談ですが(良くない冗談だ)、以下の記事で述べられているような違和感、ちょっとした引っかかりのようなものは俺も以前から漠然と抱いているところである。

note.com

更に考えてみるに、特に昨今可愛い女の子がたくさん出てくる作品を楽しむ上で私が引っ掛かりを覚えるのは、主人公(私)が女の子たちの集団の中で特権的な上の立場にいることです。(中略)

そうでした。アイドルマスターでプロデューサー扱いされるのもウマ娘でトレーナー扱いされるのもブルアカで先生扱いされるのも、本当は私は嫌なんです。大体ウマ娘のトレーナーは引退したウマ娘がやる方が適切だと思いませんか???

例えばアイドル育成ジャンルのゲームで、多数のアイドルが登場するタイプのお話だった場合、「プロデューサー」的な立ち位置でアイドルと関わるというのが今の時代のプレイヤーが本当に求めていることなんだろうか。なんかもう違うんじゃないか……と、主語を大きくして思ってしまうのである。

まあ主語を大きくするのは良くない。俺が求めるものの話だ。俺はどうせならプレイヤーも同じ「アイドル」として(設定としては熱烈なアイドルオタでもあるアイドル、というあたりで)物語に関わっていって、主役のアイドル(たち)と同じグループに所属し、切磋琢磨してお互いに成長していき、だがしかし主役のアイドルたちとはある決定的なラインでアイドル強度の絶対的な「差」があるがゆえに、同じグループで隣にいながらも最後まで仰ぎ見ることしかできない=傍観しかできない=モブキャラクターでありプレイヤーとして物語に束の間関わっていく、そんなアイドル育成ゲームが今やりたい。やりたいって言われても困るだろうが。

 

というようなことを思うのは、今『ジャックジャンヌ』をちまちまとプレイしているからかもしれない。これはアイドル育成ゲームではなく「演劇」をモチーフにした乙女ゲームジャンルの作品なのだが、プレイヤーが攻略対象の男性キャラクターと同じ立場になって物語が進む。

「東京喰種トーキョーグール」シリーズの作者・石田スイが世界観設定、キャラクターデザイン、イラスト、シナリオすべてを手がける最高の歌劇学校青春物語。

男性が男女両方の役を演じる「ユニヴェ-ル歌劇学校」。
女性であることを隠して入学した主人公「立花希佐」は、仲間達との絆を深め、時に競い合い、主役になることを目指す。

https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000027208.html

ジャンルも違うしコンソールゲームとスマホアプリゲームというプラットフォームの違いもあるわけだが、アイドルもののゲームでもこういう感じの物語の語り方、プレイヤーの立ち位置がもっとあってもいいんじゃないかなと思いました。いや、女性アイドルもの/男性アイドルもの問わず、長期運営前提のゲームではプレイヤーが「物語内での成長」から切り離された外部的存在ではないと回しづらいというのはわかるんだけど。

 

ブロッコリー ジャックジャンヌ - Switch

ゲーム系Podcast聴きまくり近況と「ゲームなんとか」ポケモンSV回

例によってゲーム系Podcastばかり聴いている。前も書いたけどゲーム系Podcastだけで聴く番組がぐっと増えたので、以前は聴いていた他のジャンルのPodcastがぜんぜん聴けなくなったし、ラジオ番組にいたっては以前は週に20時間くらいは聴いてたのに今は2,3時間くらいしか聴いてない。

なんでこんなにゲーム系Podcastばかり聴いているのかと言えば、そりゃゲームが好きなのでゲームに関する情報とか駄弁りを延々聴いていたいというのが一番大きいんだが、他のジャンルのPodcastやラジオ番組に比べて聴いているときの精神的負荷が低い(自分的には)というのがある。ここ数年よく囁かれる、世間のSNS疲れ/SNS離れ傾向に近い情動が、たぶん俺のPodcast等音声コンテンツ視聴にも反映されているんだと思う。まあ俺はSNSに関しても意識的に消費時間を減らしていたので、これは自然な流れなのかもしれない。端的に言って疲れているのかもしれんね。ある種の生活保守主義的思想にも近付いてるのかもしれない。それはあまり良くないことだと俺は俺自身に対して思うのだが、まあ疲れているのなら恢復の時間は必要だ。

 

閑話休題。今日伝えたいのはそういう俺のせせこましい話ではなくこっちのほうだ。

Podcast「ゲームなんとか」で少し前に配信された『ポケットモンスター スカーレット/バイオレット』の感想回がすごく良かった。物語の読み解きと、そのうえでのひとりのプレイヤーとしての受容の問題。「(大人もプレイする)現代の、最新のゲーム」という観点からのゲームシステム・演出・UIへの批評と、しかしそこから逆に照射される「誰がメインプレイヤーなのか」というゲーム側の狙い。それらすべてが密接に絡み合い “人生の物語” のような境地へと至るゲーム語りで、本当に唸ってしまった。長いエピソードだが、ぜひ聴いてみてほしい。

 

open.spotify.com

youtu.be

 

俺はポケモン初代リリース時にはすでに10代末期だったこともあってずっとごく表面的にしか触れていなかったのだが、それもそろそろいかんかなとポケモンSVは発売後すぐに買ってプレイしていた。わりあい楽しんではいたのだが、しかしどうしてもゲーム内容というより、(大ヒット確定の超巨大タイトルとしての)ソフトウェア品質的にちょっとこれは低レベルすぎないか……と思うところが多々あり、途中でペンディングしてしまったのだった(さすがにその後のアップデートである程度は改善されていると思うが、最初はかなりひどかった)。そういうこともあり、「ゲームなんとか」のこの回にはちょっと蒙が啓かれた感があり、そのうち再開してみようかなという気分になったのだった。せめてナンジャモには会いたい。

ポケモンセンターオリジナル フィギュア ナンジャモ&ハラバリー

 

BOOTHで売ってるインディーゲーム

エビデンスというか具体例のあるような話ではぜんぜんない、あくまで俺の偏った観測範囲内をざっと見渡してのジャスト思いつきみたいな話なんだが。

かつての同人ゲームシーン/市場は非18禁オリジナルゲームはSteam、18禁オリジナル/二次創作系はDLsiteやFanza同人ソフトでの販売に大勢が移行したっぽいと思う。一時期盛り上がっていた、コミケ等大規模即売会の後に同人専門書店の独自流通でなかなかに凝ったパッケージ版を頒布(販売)するという流れはもうほとんどなく配信販売が中心となり、大規模即売会合わせでリリースするというのにもそれほどの拘りがなくなっているように見える(個人的には2012年のコミケから恒例だったえーでるわいすの「同人ゲームまとめ動画」の募集が2022年に終了したのが象徴的だった)。より「インディーゲーム」との垣根が薄れたというか。

で、そっちの流れとは別に「BOOTHで売ってるインディーゲーム」というシーンも今はあるんじゃないかという感触がある。コミケやコミティアでパッケージ頒布したものの通販/DL販売、あるいはそういう同人即売会とは無関係なインディー作品の販売チャネルとしてのBOOTH、みたいな感じで、SteamやDLsiteやFanzaとは毛色の違うものがあって、そしてそれらの文脈とは違うファンが着実に根付いているようにも見える。具体的には『陰キャラブコメ』あたりだが、ここまで人気があるタイトルでなくても、何か他の販売チャネルとは違う色があるように見えるんだよなあ。なんかこう、なんていうの、大枠では2次元オタク文化圏の作品ではあるけど文脈としてはそっちよりネット文化文脈のほうが強くて、作品テーマにメンタルヘルスが大なり小なり関わっていてかつ「ネタ」的な題材ではなく当事者の視点がある……ように見えるやつ。海外の個人制作テキストADV/ビジュアルノベルでも似たような傾向があると思うが、それの日本版みたいな感じの。

まあ以上は俺の雑な見立てなのでたぶん的外れなことを書いていると思うが、現時点での印象のメモとして残しておく。いずれにせよこの方面にはとんと疎い。どっか詳しい人がいろいろ語っているとこはないかね。

なぜか急に陣取りゲームが遊びたくなって

周期的に「あーなんか、○○みたいなゲームで遊びたいなあああ」みたいな漠然とした気分が続くことがある。オーセンティックなコマンド選択式推理ADVをプレイしたいとか、PS1〜PS2時代のザ・JRPGなゲームをプレイしたいとか、なんでもいいからテニスゲームをプレイしたいとか、手ざわりの良いアクションパズルを携帯ゲーム機でプレイしたいとか、いろんな方面にガバガバなYouTube広告を打ってる中国製の量産型ソシャゲを連続して1ダースくらいプレイして虚無と向き合いたいとか、そんな感じの気分だ。たぶん誰でも、大なり小なり似たような気分になることがあるだろう。

そんなわけで、1月の半ばくらいから俺の中で続いている気分は「陣取りゲームが遊びたい」である。陣取りゲーム……という言い方が正しいのかはよく考えると微妙かもしれんが、要は『クイックス』系のゲームだ。『ヴォルフィード』とか『ギャルズパニック』とか『ダンシングアイ』とかあの手のやつ。

なんで急にそんな気分になったのかは忘れたが、とにかく年明けからしばらく経ってそんな気持ちがムクムクと湧いてきたので、とりあえずSteamでクイックス系のゲームを探してみた。

これはしょうがないのだけど、『ギャルズパニック』以降のこのジャンルは何らかのお色気要素とセットになっていることが多い。切りとったフィールドから女の子のセクシーな絵が見えるようになるというフィーチャーだ。というか現在のSteam市場ではむしろ低価格お手軽ソフトエロティックゲームの「ゲーム」部分を言い訳的に成り立たせるためのメカニクスとして陣取りゲームが採用されていると言っていい。エロが主で陣取りゲーム部分は従だ。

なので実際のところユーザー評価はあまりよくないゲームばかりだ。それにユーザーレビューでは「誰でもクリアできるような簡単な内容なので良い」というような基準で陣取りゲーム部分を評価してたりするので(つまりゲーム的な歯ごたえがないほど=エロご褒美を簡単に見ることができるほど良い、というわけだ)、この中から良い感じの陣取りゲームを選ぶのは難しいかもしれない。

とはいえそんな中でも比較的評価が良いほうでレビューでもゲーム部分のやり応えがそこそこあるような記述があった『モココX』を買ってプレイしてみた。

これは『ギャルズパニック』直系の、切りとったフィールドから女の子の絵が見えるタイプのゲームだ。海外製の作品だが、絵は(ちょっと古い絵柄ながらも)アニメ調、ゲーム中のメッセージや台詞も日本語フルローカライズされている。されているのだが……なんというかその翻訳品質があまりよくない。いや、よくないというかなんというか、直訳すぎて意味が取れない、むしろストレンジな感じになっている。

まあ陣取りゲームなので別に物語がわからなくてもぜんぜん問題ないのだが、この作品、ゲーム中に女の子や敵キャラクターがやたらと喋る。たぶん日本語ネイティブではない声優さんがけっこう熱演しているのだが、前述のストレンジな翻訳品質の日本語メッセージを、日本語の台詞回しとして流暢ではあるけど不安定な部分もある喋り方で延々と聞かされるので、夜中にプレイしているとちょっと気が狂いそうになる(隣の部屋で寝ようとしていた妻には「怖いからやめて」と言われた)。

 

「その同じ夜に、私に人生が興味深く、また脅されていると感じる」(最初の4ステージのあいだ何度も聞かされる)
「量より質ゥー!」「時計のような規則正しさが、いま必要です」(たいへん有能そうな言い方で誇らしく宣言される)
「私は挑戦し続けるの……私はたくさん欲しいの?」(すごく消え入りそうな声で問われる)
……などのなんとも例えようがない台詞に脳味噌を支配される。あ、陣取りゲームとしては、まあなんというか大味だけどそこそこ楽しめる。

 

だが当然『モココX』だけでは陣取りゲームプレイしたい欲を満たすことはできず、たまたま秋葉原のHeyで『ヴォルフィード』が稼働しているのを見つけたのでガシガシとコインを投入したりした。難しい。しかし改めてプレイすると妙にBGMががかっちょいい。50年代SF映画的な雰囲気がある。こんなだったのだな。というわけで仕事帰りに寄れるときは寄るようにしている。

 


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だがそうそう秋葉原に寄れるというわけでもない。というわけでアーケードアーカイブスシリーズとして配信されている『クイックス』を購入して寝る前に1時間ほどプレイしている。

 


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後続の作品に比べるとオリジンであるこのゲームはたいへん難しい(ルール的に、フォロワー作よりも厳しい部分がある)。そして完全にアブストラクトなゲームで、不気味で静謐な美しさのようなものさえ感じる。BGM的なものは敵である「クイックス」が回転しながら不規則に移動する際に発しているのであろう不穏なブーンブーンという周期的ノイズだけ。正体不明のクイックスという存在を囲み、移動範囲を狭めて、殲滅する。人類とはまったく違う、意思疎通の不可能な知性体との不幸なファーストコンタクトであり終末戦争でもあるかのような、冷たい、仮構のバトルフィールド。1981年のゲームが一周二周回って今見ると強烈な未来感覚を与えてくる。なんというかっこいいゲームなのだろうか。だがとても難しい。

 

さてここで自分の内面との対話を試みる。なぜ俺は急に陣取りゲームが遊びたくなったのか……その理由はわからないままだが、そのとき心に思い浮かべていた「陣取りゲーム」とは果たして『クイックス』や『ヴォルフィード』だったのか?

いや確かに両作とも改めてプレイしてみたことで新たな魅力に気づくことができたしとても面白いのだが、「陣取りゲームが遊びたい」と思ったときに想定していたゲームとは微妙に離れるのではないだろうか。だって陣取りゲームが遊びたいっていうときに、まず最初に『モココX』のようなゲームに行くだろうか? 『クイックス』も『ヴォルフィード』も移植版がたくさんあってプレイしようと思えばそこそこプレイしやすいゲームなのに……というところではたと気づいた。俺がプレイしたいのは正調陣取りゲームの系譜から分岐したアレンジ陣取りゲーム、それも具体的には『ぎゃるぱにX』だったのだと……だからギャルの出てくる陣取りゲームを無意識に最初に探したのだな。なるほどそうか。

 

『ぎゃるぱにX』は同人サークル「D5.」制作の『To Heart』二次創作同人ゲーム。たぶん90年代末から2000年代初め頃に頒布されたゲームだ。その後、2004年頃に無料公開されたので一部ではけっこう有名なゲームだと思う(俺はそのタイミングで知ってプレイしていた)。

直接的には『ギャルズパニック』から着想を得た陣取りゲームだが、同人ゲームらしい大胆なアレンジ&リミックスとして、そこに弾幕シューティングの要素がプラスされている。敵キャラクターが有名シューティングゲームのどこかで見たことのあるような激烈な弾幕で攻撃してくるのだ。そして他の『クイックス』フォロワーゲームとは違い、プレイヤーは自陣内でその弾を避けねばならない(つまり、陣地を広げる線を引いているとき以外は無敵という陣取りゲームのルールにおけるセオリーが否定されているのだ)。そのかわり、プレイヤー機は自陣の枠線上だけではなく、陣地内であれば自由に移動できるのだが……最初はいいが後半はかなり難しい。難しいが、敵や弾自体はわりとのんびりした動きなので頑張ればそれなりになんとかなる(ギャル絵のコレクション回収にこだわらなければ)、というのが良かった。

 


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このゲームを当時かなり熱中して遊んでいた記憶があり、それが急に無意識下に甦ってきたというのが今回の気分の理由だったのだと思う。

そんなわけで、旧PCのHDDから当時のインストールデータをサルベージした。Windows 10環境でも特に問題なく動くようなので、あとはDirectInput対応のUSBセガサターンコントロールパッドを見つければまたちゃんとプレイできるだろう(さすがにキーボードでの操作は難しい)。USBセガサターンコントロールパッド、この部屋の、どこかにあるはずなのだが……そう、どこかには……たぶんある……。

ところでインストールデータをサルベージしてから調べて知ったのだが、なんとこのゲームは現在でもサークルのWebページからダウンロード可能だ。プレイしたことがない方はぜひ遊んでみてほしい。

mapleford.net

 

……なんてことをやっていたら、なんとこの3月末にアーケードアーカイブスで『ヴォルフィード』が配信されるとのニュースがあった。嬉しい! 俺が陣取りゲームをこの1ヶ月半ほどいろいろとアレしていたのがバタフライエフェクトして今回のアケアカ配信に繋がったのだと思うと嬉しい!(狂人の思考回路)

www.famitsu.com

 

2023年のゲーミングまとめ&個人的Game of the Year

おわーもう年が明けて1ヶ月も経つのか。早い。早すぎる。毎年言っている感じだがどんどん早くなるね。

昨年のゲーミングまとめを書いておくと、まあなんか長いことプレイしていたのは旧作ばかりだった。足かけ2年半くらいプレイしていたNDS『世界樹の迷宮』をやっとクリアし(のべプレイ時間は120時間ほど。2023年にプレイしたのは50時間弱)、人生初スパロボとなった『スーパーロボット大戦α』をゲームアーカイブスで購入してPS Vitaで40時間ちょっとプレイし(しかしまだ中盤あたりだ。でも俺なりにけっこう楽しんだのでペンディング中)、そして秋口から年末にかけてはPC版の『世界樹の迷宮Ⅱ 諸王の聖杯 HD REMASTER』をプレイしていた(80時間弱)。

世界樹ばっかやってんじゃねえかという感じだが、ほんとはこんなつもりじゃなかったのだ。セールで安くなってたのでそのうちプレイする用というつもりで買ったⅡを、何の気なしに起動してちょっと触ったらズルズルとそのまま続けてしまった。リマスター版になって全体的に「今」のゲームとして最低限のプレイしやすさは用意されるようになったので快適だというのもあるが、そもそも元の作品的に一作目で調整不足だったところを改善したアッパーバージョン的な内容だというのも、一作目クリアの余韻が残っているところにスルッと入ってしまった。ギルド名をパスワードで引き継ぎ、冒険者も同じ名前と職業で登録し直し、Ⅱで追加になった職業の冒険者も追加作成して、パーティーメンバーをいろいろ組み合わせてプレイしている。ⅡのほうがⅠよりも職業間のシナジーを狙いやすくて楽しい。そんなわけでいろいろ試しているうちに80時間弱もプレイしてまだ第4層でうろうろしている。リマスター版の通常難度はオリジナル版よりも簡単に設定されているが、それでも俺の場合はクリアまで100時間はかかってしまうのだろうなという感じだ。

長いことプレイしていたのは旧作……旧ハード用の「レトロゲーム」に分類されるようなゲームばかりに結果的にはなってしまったのだが、新作もそこそこプレイはしている。が、インディー系の短時間で終わるやつ中心で、AAAなメジャー超大作にはぜんぜん手を出せていないという感じだ。2022年に引き続き2023年にはゲーム史に残るような大作がリリースされたと思うのだが、それらはぜんぜんキャッチアップできていない。いかんねえ。いや別に義務でもなんでもないんだからいかんってことはないんだろうけど、でもなんかこう、これはいかんなという感じがする。

だが思い返せば俺は今までもそういった「時代を代表するゲーム」をリリース当時にリアルタイムでプレイしていたかっていうとぜんぜんそんなことないので、いつもどおりといえばそうなんだろう。でもそういう同時代的な盛り上がりにはちゃんとその時に乗っておくべきだ(だった)というのはここ数年諸々と身に沁みて感じているところではあるので、今年はもうちょっとそこはアグレッシブにやっていきたい。

そういう意味では2023年に『ストリートファイター6』をプレイできたのは良かった。いやぜんぜんやり込んではいないけど、これは優れて「2023年のゲーム」っていうのをひしひしと感じるプロダクトとして高度にまとまっていて、そこに物凄く感心したのだった。運営型のゲームなのでここからさらに変わっていくのだとは思うが、定期的に見ていきたい。とか何様目線で語っているが、まあ俺のランクがどうなのかというのは敢えて語るまい。

 

とりあえず2023年の俺のゲームプレイ概観としてはそんなノリだ。振り返ると2023年は仕事が妙に忙しい時期が年の頭からわりと切れ目なく続いてたんだよね。さすがに体力的にちょっと危機を感じることも多かった。それもあって刺激的な新作よりも旧作のほうに手が伸びがちだったというのもあるかもしれない。

昨年に引き続きGOTYはメモ程度にしておくが、これはわりとすんなり『ファミレスを享受せよ』(itch.io版)。5月のある週末の深夜にプレイを始めて朝方にクリアしたのだが、それから今までことある毎に思い返している。後半に出てくるとある謎解きの場面で(素直に)詰まってしまって、暗号解読を試みてまちがい探しをオールクリアしてメッセージを深読みしたりイラストの絵解きを試みたりしたのはいい思い出だ。そして真の解法を知ったときにはこれまた素直に驚いたりもした。

 

 

ゲーム表現としての完成度・新奇性・面白さ・批評性・時代性云々という評価軸とはまた違う軸、好きとか嫌いとかいうのとも別のレイヤーで、なぜか自らの人生の一場面として分かちがたく結びついてしまう・しまった作品というのがたぶん誰にでもある。俺にとっては2023年の『ファミレスを享受せよ』がそれで、2022年の『Unpacking』に続いてそういう作品に出会えたのはとても良かったなと思っている。そういうタイトルこそがまさに極個人的なGame of the Yearとして記録しておくべきものだろうなとも思う。

 

ところで、昨年はTwitter/Xを見る時間を意識的に減らそうとしていて、結果として今は2日に1回ちょっと見るくらいの頻度になった。そんなわけなので、今年からはTwitter/Xの俺のアカウントはゲーム関係のWebメディア記事・Blogエントリで良かったもの、興味深かったものをpostしたりRepostしたりする専用の場所として使うことにした。

日常のつぶやきみたいなのはBlueskyもしくはMastodon、さらにどうでもいいことやゲーム関係の個人的な覚え書きなんかはゲームへたおじさんドットコムのDiscordサーバーでやっていくことにしますので、何かあればそちらをご覧ください。

あと昨年はぜんぜんやってなかったTwitchの配信チャンネルも今年はもう少しやっていきたい気がしているが、こっちはどうだろうね。まあとりあえず。

 

バッツグーン!

Switchで『BATSUGUN サターントリビュート Boosted』を買ってプレイしてる。前に書いたとおり、俺にとって『BATSUGUN』というシューティングゲームはそれほど思い入れのあるタイトルではない。ないんだけど、ダラーッと何も考えずにプレイするにはとてもいい塩梅のゲームなのだ。秋葉原のHeyにわりとずっと置いてあるので、金曜日あたりの会社帰りに寄って、その週の仕事の疲れでごちゃごちゃになった頭をカームダウンするために連コインしてだらだらプレイする、というのをよくやる。

『BATSUGUN サターントリビュート Boosted』はタイトルのとおりアーケード版の移植ではなくあくまで「セガサターン移植版」のパワーアップ移植、というちょっと複雑な出自ではあるのだが、まあ移植度云々について何かわかるほどこのゲームに知悉しているわけではないので(以前書いたように、何度プレイしても「レベルアップするとすごく強くなる」というフィーチャー以外がほとんど記憶に残らないし、それ以外で覚えているのは一面が海中だってとことボスの名前がDeep Purpleだというところだけなのだ)、家でプレイできるなら買っとくか、最近は疲れて会社帰りに秋葉原へ寄る気力もないしな……という非常に後ろ向きな感じで購入した。

で、プレイしたわけだが……あれ? これ俺がときどきHeyでプレイしてるBATSUGUNより難しい気がする……なんでだ。なんでだと言われても困ると思うが。もっと簡単なゲームだと思ってたんだが、なんかすぐ死んじゃうよ。疲れてるのかな。アケコンでプレイしてないからかな。なんでだ。なんでだと言われても困ると思うが。

あと、このゲームはタイトルで「バッツグーン!」とキャラクターたちが声を合わせて元気に言うのがなんか勢いがあって良かったよな、Heyだと周りの音がうるさくて聞こえないけど……と思ってプレイを始めたのだが、そんなコールは一切なかった。あれ? と思ってよくよく考えてみたら、これはお笑いコンビのX-GUNが「ボキャブラ天国」出演あたりから始めた名乗りだった。このゲームのリリースが93年、ボキャ天に出てくる若手お笑い芸人が中高生に人気を集めていたのもそれくらい。同じくらいの時代の記憶がごちゃまぜになっていた。あの頃、俺はクラスの女の子たちが休み時間にボキャ天の話をしているのを聞いて、くだらないなそんな番組、みたいな感じでダル絡みしてすごい勢いで無視されたりしていたのだった。そして通っていた高校のすぐ近くにあったGEOに数台設置されていたアーケードゲーム筐体に『BATSUGUN』が入っていて、俺はときどきそれをプレイして、そして市内の俺が知る限りのレンタルビデオ屋ではその店にしか置いてなかったロジャー・コーマンの『血まみれギャングママ』とかトビー・フーパーの『スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火』なんかを借りて、ああ、あのボキャ天が好きなクラスの女の子たちはこんな映画見ないんだろうな、とか思って、でもそこにはルサンチマンから来る優越感じみた感情はぜんぜんなくて、ただなんとなくうら寂しい気分だけがあったのだった。

 

バッツグーン!

 


  

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人体自然発火/スポンティニアス・コンバッション(字幕版)